夢枕獏氏の”和製ダーク・ファンタジー”が
伊藤勢氏の画でまた違った魅力に!
夢枕獏氏『陰陽師 瀧夜叉姫』が原作。
短編がメインの『陰陽師』シリーズにあって、『陰陽師 瀧夜叉姫』は文庫本上下巻の長編です。
おどろおどろしく重厚感のあるストーリーを伊藤勢氏の素晴らしい画によってコミカライズされた本作品は、原作とはまた違った魅力と味わいがあります。
この作品のオススメ度!
(3.9)
【ストーリー】
設定がユニーク! 画が素晴らしい! 怪奇な展開! ハラハラドキドキ! 引き込まれる面白さ!夢枕獏氏『陰陽師』シリーズ8、9巻目の『瀧夜叉姫 上下巻』が原作。
平安の都で次々と起こる怪事件。必然のように巻き込まれていく安倍晴明と源博雅。
一見関連性のない各々の怪事件がやがて……。
晴明と博雅以外にも数多登場する個性的なキャラと複雑怪奇な物語を、伊藤氏がどのように”味付け”していくのか。
氏曰く、目指すは『スーパー歌舞伎でトールキン‼︎』(第1巻『あとがき』より)
【読者の評価】
平均4.7ポイント。
【受賞・実績】
電子書籍化している。
【ボリューム】
現在4巻。
電子書籍で全巻揃えると約3,000円(税込)。
【完結/連載】
連載中。(2020年〜)
参考
【オススメ度】以下5項目の平均値。
【ストーリー】一言コメント1点につき1pt(MAX5pt)
【読者の評価】電子書籍サイト読者評価の平均 (MAX5pt)
【受賞・売上】電子書籍化(1pt)+ 5巻以上(2pt)+ 初版から10年以上(2pt) + 受賞数(x2pt) + 累計発行部数が公表(2pt) + 国内外の高評価(各2pt) 以上の合計(MAX5pt)
【ボリューム】全巻合計が:〜1万円(5pt)/〜2万円(4pt)/ 〜3万円(3pt)/ 〜4万円(2pt)/ 4万円超(1pt)
【完結/連載】完結(5pt)/数ヶ月毎の定期発行(4pt)/年ごとの定期発行(3pt)/不定期発行(2pt)/未完(1pt)
漫画の漫談(まんだん)
知っていると、もっと深く・面白くマンガが読めるトピックのご紹介。
相馬の古内裏
作品のタイトルにもある『瀧夜叉姫』とは?
有名な浮世絵『相馬の古内裏』を通して、簡単にご紹介します。
『相馬の古内裏』は、歌川国芳の代表作の一つ。
この作品は、山東京伝の読本『善知安方忠義伝』から、
源頼信(みなもとのよりのぶ)の家臣 大宅太郎光国と、
平将門の遺児で、妖術を操る瀧夜叉姫との対決の場面を描いています。
原作の読本では数百の骸骨と戦闘を繰り広げる場面を、御簾を破って乗り出す巨大な骸骨に変えてインパクトを与えています。
相馬の古内裏は、相馬小次郎こと平将門が下総国に建てた屋敷で、将門の乱で焼かれ、以降、荒れ果てた廃屋になっていました。
蝦蟇の精霊から妖術を授かった瀧夜叉姫と良門は、父の遺志を継いで、この廃屋に妖を集結させて謀反を企てます。
しかし、大宅太郎光國が討伐に成功。瀧夜叉姫の目論見は潰えます。
この哀しい物語は、様々な文学・芸能の題材になっています。
浮世絵版画の3枚続のこの作品。大きくて迫力があります。
普通は、1枚ずつでも構図が独立するように描かれますが、その慣例に従わない大胆な構成も国芳らしいと言えます。
海外でもとても人気の高い作品で、ボストン美術館にも所蔵されています。
最後に
シリーズでは数少ない長編で、複雑怪奇な展開は読み応え十分。
それが伊藤勢氏の緻密で圧倒的な画力によってコミカライズされたと知り、迷わず購入。
原作とはまた違ったストーリーを食い入るように読んでしまいました。
何しろ画がすごい!
迫力のあるシーンはもちろん、京ことばが心地よく響くお笑いの場面など、面白さ満載の作品です。
電子書籍で読む!
第1巻
天徳四年(西暦960年)春。京で「盗らずの盗人」「妊婦の連続殺人」と奇妙な事件が続く中、天文得業生・安倍晴明と友人の源博雅は、奇妙な仕事の依頼を受ける。それは後の京を揺るがす災厄の前触れだった……!
第1巻発売に合わせて、夢枕獏氏と伊藤勢氏の対談が、コミックナタリーさんのサイトに掲載されていました。お二人のこの作品に対する思いや裏話が面白かったので、勝手ながら紹介させていただきます。ご興味がある方は是非こちらをご覧ください。
最新巻
平将門豹変の謎を追う晴明と博雅。一方、蘆屋道満は、京に大乱を起こそうと企む意外な首謀者に辿り着く。――時は戻り、将門の乱の渦中。俵藤太は将門の居城を訪れるが、そこにかつての友の面影はなく……!!
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原作はこちら!
陰陽師 瀧夜叉姫 夢枕獏
平安の都で不穏な怪事が相次いでいる。ものを盗らない謎の女盗賊の出没、妊婦が次々に腹をひきさかれ惨殺…。そんな中、安倍晴明と源博雅の2人は、顔にできた不気味な瘡に苦しむ平貞盛の元へ赴き、異様な光景を目の当たりにする。連続する怪異の真相と、その背後に蠢く邪悪な男の正体とは? ライバル・蘆屋道満、兄弟子・賀茂保憲といったお馴染みの顔に加え、藤原秀郷(俵藤太)も大活躍。さらにはあの、怨霊中の怨霊である“武将”が登場! 大人気シリーズ第8弾。