『アリオン』

安彦良和

ギリシア神話、
欲望と陰謀が渦巻くオリンポス!

安彦良和氏の漫画家デビュー作!

ゼウス、ポセイドン、アポロン、アテナ、アフロディーテ、プロメテウス、ヘラクレス……いずれもどこかで聞いたことがあると思いますが、全てギリシャ神話に登場する神々です。

嫉妬、恨み、疑心、傲慢……ギリシア神話には”人間臭い神様”を描いたエピソードが数多くありますが、本作品も神話をベースにした神々が巻き起こす骨肉の争いの物語です。

大人の陰謀に利用され、オリンポスの争いに巻き込まれていくアリオン

彼の前に立ちはだかる最強の敵は……?

 

この作品のオススメ度!

(4.5)

 

【ストーリー】

予想外の展開! 設定がユニーク! 画がいい! 神話ベースの話が面白い! 戦闘シーンが素晴らしい!

その昔……3人の兄弟がいた
かれらは世界を3つにわけ
それぞれをおさめる部分を くじ引きで決めることにした

一番くじを引いた末弟のゼウスは 天界の王となり
次兄のポセイドンは二番くじを引き 豊穣な海界の王となった
不運な長兄のハデスは 三番くじを引いた
かれはやむなく 暗い地底の国の王となった……

片田舎でひっそりと暮らす、かつて母神と言われたデメテルのもとにハデスが突然訪ねてきた。

彼の目的は幼いアリオンだった。彼を騙して冥界に連れ去ってしまう。

そこでアリオンは、母が自分を産んだせいで目が見えなくなったと知る。

彼の父はポセイドンであり、一族の子に殺されるという予言に恐怖するゼウスはアリオンを殺そうとしたが、デメテルが視力と引き換えに息子の命を救いオリンポスを追われたのだという。

母の眼を治すにはアリオンが背負った宿命を果たさなければならないとハデスは彼に言う。

6年後、たくましく成長したアリオンはオリンポスに向った。それがハデスの策略とは知らずに……。

【読者の評価】

平均4.6ポイント。

【受賞・実績】

電子書籍化している。
初版発行から10年以上経っても購入できる。

【ボリューム】

全5巻。
電子書籍で全巻揃えて2
,000円超(税込)。

【完結/連載】

完結。(1979年~1984年連載)

 

参考


【オススメ度】以下5項目の平均値。

【ストーリー】一言コメント1点につき1pt(MAX5pt)
【読者の評価】電子書籍サイト読者評価の平均 (MAX5pt)
【受賞・売上】電子書籍化(1pt)+ 5巻以上(2pt)+ 初版から10年以上(2pt) + 受賞数(x2pt) + 累計発行部数が公表(2pt) + 国内外の高評価(各2pt)  以上の合計(MAX5pt)
【ボリューム】全巻合計が:〜1万円(5pt)/〜2万円(4pt)/ 〜3万円(3pt)/ 〜4万円(2pt)/4万円超(1pt)
【完結/連載】完結(5pt)/数ヶ月毎の定期発行(4pt)/年ごとの定期発行(3pt)/不定期発行(2pt)/未完(1pt)

 

スポンサーリンク

漫画の漫談(まんだん)

知っていると、もっと深く・面白くマンガが読めるトピックのご紹介。

『アリオン』には、ギリシア神話をベースにした作品です。
ギリシア神話を少し知っていると、『アリオン』の背景がわかってぐっと面白さが増します。
そこで、『アリオン』に登場するギリシア神話の神々と、物語の元ネタになっている(と思われる)エピソードを紹介します。

 

オリンポス十二神

オリンポス山に住むと伝えらている、下記の男女計12人の「柱の神々」。
実在の山で、テッサリア地方にある標高2,917mのギリシャの最高峰。

(参考:Wikipedia「オリンポス十二神」)

 

ゼウス

ギリシア神界で最高神。宇宙や気象を司る天空神
クロノスレアーの子。

「子に権力を奪われる」という予言により、クロノスは生まれた赤子を次々と飲み込んだが、妻のレアーは末子のゼウスを産んだとき、産着にくるんだ石をクロノスに飲み込ませて助けた。

成長したゼウスはクロノスから兄弟を救い出しティターンと戦うティーターノマキアー)。
勝利を決定づけるため、ゼウスはガイアの助言に従い、幽閉されていた単眼の巨人キュクロープスを解放して味方につける。彼らは、お礼に、ゼウスに雷霆らいていを、ハデスにはかくれ兜を、ポセイドンには三叉のほこを贈った。
ティターンに勝利後、くじ引きで、ゼウスは天界、ポセイドンは海界、ハデスは冥界の支配権を得た

(参考:Wikipedia「ゼウス」)

 

ヘラ

オリンポスの女神中、ゼウスの正妻にして最高位の女神。結婚・母性・貞操の神。クロノスとレアーの娘。
ゼウスの姉であり3番目の妻。天界の女王として絶大な権力を握り、権威を象徴する王冠と王笏を持っている。
嫉妬深く、ゼウスの愛人やその子供に対して残酷な仕打ちをした。
虹の女神イーリスと季節の女神ホーラたちは腹心の使者や侍女。
また、アルゴススピンクスヒュドラーピュートーンラードーンカルキノス大サソリなどの怪物を使役する話もある。
世界の西の果てにある不死のリンゴの園・ヘスペリデスの園を支配している。

毎年春になるとナウプリアカナートスの聖なる泉で沐浴して、処女性を取り戻す。アフロディーテにも劣らず天界で最も美しくなるので、この時期はゼウスも他の女に目もくれずにヘラと愛し合うという。

(参考:Wikipedia「ヘラ」)

 

ポセイドン

海と地震の神。全海洋を支配。クロノスとレアーの子。ゼウスの2番目の兄。ゼウスに次ぐ地位と実力をもつ。
ティーターノマキアーでキュクロープスから贈られた三叉の矛(トリアイナ)を武器とする。

地震を司る大地の神でもあり、その関連から大地女神デメテルの夫とされている
馬の神、競馬の守護神としても有名で、牡馬の姿で牝馬になったデメテルと交わり、名馬アレイオーン(アリオン)デスポイナ(「女主人」の意。本名不明)が生まれた。
アテーナイ(アテネの古名)の支配権を巡って、アテナと争ったこともあり、裁定でアテナが勝ち、アテーナイの守護神となる。
アムピトリーテーの間にトリトンがいる。愛人も数多く、そのひとりがメドゥーサである。彼女との間にはオリオンペガサスがいる。

(参考:Wikipedia「ポセイドン」)

 

ヘスティア

炉・かまどの女神。家庭生活の守護神。クロノスとレアーの長女。ゼウスの姉。

永遠の処女を守ることをゼウスに誓い、代わりに、全ての神殿で祀られる特権、彼女が全ての人の家で祀られる特権、そして、炉は犠牲を捧げる場所であることから、全ての犠牲の分け前が最初に彼女に捧げられる特権を許された。
常に炉を離れられないため、他の神々の行動に関わることは少なく、神話にほとんど登場しない。

 

 

(参考:Wikipedia「ヘスティア」)

 

デメテル

豊穣の女神。クロノスとレアーの娘。ゼウスの姉。
普段は温厚だが怒ると飢餓をもたらすため、ゼウスも一目置く。

ゼウスとの間にできた娘ペルセポネー(コレー)が、ハデスによって冥界に連れ去られる。
ゼウスの差し金と知ったデメテルは、抗議して娘を探しに放浪の旅にでた。その間、大地が荒廃した。
ゼウスは娘を地上に帰す約束をし、大地は豊穣を取り戻す(穀物が地下に撒かれ、再び芽吹くことを象徴する話)。
しかし、冥界の食物を食べた者は冥府の住人になる定めがあり、ペルセポネーは冥界のザクロを口にしていたため地上に帰れなかった。デメテルが再びゼウスに抗議。
ゼウスは、ペルセポネーが食べたザクロの数を月数にして、1年の1/3を冥府で暮らすように定めた。娘が不在の間、デメテルは実りをもたらすのをやめた。(四季の起源
放浪の旅の途中でポセイドンに迫られ、アリオンをもうける。

(参考:Wikipedia「デメテル」)

 

アテナ

知恵、芸術、工芸を司る、武装姿の戦いの処女神。ゼウスとメーティスの娘。
父クロノスと同様、ゼウスも、妻メーティスとの間に生まれた子供に権力を奪われると予言をうけ、妊娠したメーティスを飲み込む。しかし、激しい頭痛に耐えきれず自らの頭を割らせると、そこから甲冑姿の成人したアテナが生まれ出た。
アテナは、自由奔放で非常に気が強く、プライドが高く、美貌と知性を兼ね備えた自分に自信を持っていた。
パリスの審判でヘラやアフロディーテと美を競い、また、美少女だったメドゥーサと美を競って醜い姿に変えている。

アレースが冷酷で残忍な戦いの神であるのに対して、アテナは知略的な戦いの女神とされる。ポセイドンとの争いで、彼が馬を作って人間に与えたのに対して、アテナはオリーブの木を作って与えた。裁定の結果、アテナが勝利しアテーナイの守護神となる。

(参考:Wikipedia「アテナ」)

 

アポロン

竪琴などの音楽、芸能・芸術、医術、弓術、予言、光明の神で牛飼いの守護神。太陽神と同一視。ゼウスとレートーの子。
人間に当たれば苦痛なく即死する金の矢を武器とする。
美青年で、数多くの恋物語がある。理性的な性格で、あらゆる知的文化的活動の守護神とされる一方、音楽で競って勝利し、敗者のマルシュアースを生きたまま全身の皮膚を剥いで殺したり、疫病を広めて人間を惨殺したりする、冷酷で残忍な面もあった。
巨人戦争ギガントマキアーにも参戦した。アポロンはヘラクレスと共闘し、ギガースの一人であるエピアルテースの左目を射た。ギガースは神々に対して不死身だったため死ななかったが、すかさずヘラクレスが右目を射て、絶命させた。

(参考:Wikipedia「アポロン」)

 

アフロディーテ

愛、美、性の女神。クロノスが切断したウラヌスの男性器にまとわりついた泡から誕生した。
ヘラの腹心で、季節の女神ホーラによってオリンポス山に連れてこられた。彼女の美しさをオリンポスの神々が称え仲間として迎え入れられ、ゼウスの養女となった。(ゼウスとディオーネーの娘という説もある。)

ヘラやアテネと美を競い、パリスによって最高に美しい神に選ばれたが、そのことがトロイア戦争の発端となった(パリスの審判)。

ヘファイトスと結婚したが、アレースと浮気をして、ヘファイトスに見つかって離婚する。

ローマ神話では、ヴィーナスと同一視されている。

「パリスの審判」ルーベンス作(1636年)

(参考:Wikipedia「アフロディーテ」「パリスの審判」)

 

アレース

軍神。狂乱、破壊、冷酷な気質。ゼウスとヘラの子。

戦いの神ながら、知略も計画性もなく戦い、人間に敗北した話も多い。
トロイアでは、アテナの助けを借りた、人間の英雄ディオメーデースに敗れ、ものすごい雄叫びをあげて倒れた。
そのほか、ヘラクレスと戦いオリンポスに逃げ帰ったというエピソードや、アローアダイによって13ヶ月青銅の壺に閉じ込められ、ヘルメスに助け出された話もある。

女性だけの部族アマゾーンの祖でもある。

(参考:Wikipedia「アレース」)

 

アルテミス

狩猟・貞潔の処女神。ゼウスとレートーの娘。アポロンの双子の妹。
アポロンがヘーリオスと同一視され太陽神とされたのと同じように、セレーネーと同一視され月の女神とされた。
オリンポス十二神のひとりだが、まだうら若い美しい処女神で、ヘラに自分の弓で打たれ泣きながら立ち去る小娘として描かれている。
一方で、気の強さを表すエピソードも多い。
猟犬を伴い、ニンフたちにとりかこまれて山野を駆ける狩人として、鹿を追い、ときに人間に矢を向けることがあった。
熊との関わりが深く、ニンフのカリストーはアルテミスの怒りを買って熊の姿にされた。
また、産褥の女性に苦痛を免れる死をもたらしたり、人身御供を要求する神でもあった。

(参考:Wikipedia「アルテミス」)

 

ヘファイストス

炎と鍛治の神。ゼウスとヘラの第一子。
キュクロープスらを従えて、自分の工房で様々な武器や道具、宝を作っている。

醜い姿ゆえに母親のヘラから冷遇されていたが、彼女を罠にはめ、解放の見返りに、美の神アフロディーテとの結婚を求めた。
美貌の女神を妻にしたヘファイストスだが、彼女がアレースと浮気していることを知った。彼は、特殊な網の罠をしかけて密通現場を押さえ、網に拘束された2人をオリンポスの神々に晒して辱めたうえで、離婚を申し出た。

彼の代表的な作品として、プロメテウスの弟エピメテウスの妻となった美女パンドーラ、ゼウスの盾「アイギスアポロンとアルテミスの矢アキレウスの盾」を含むアキレウスの武具一式、青銅の巨人タロース、ヘラクレスがステュムパーリデスの鳥退治の際に使った青銅の鉦などがある。

(参考:Wikipedia「ヘファイストス」)

 

ヘルメス

神々の伝令使。幸運と富を司り、旅人・商人の守護神。雄弁、音楽、発明、策略、夢と眠り、牧畜、盗人、賭博、交易、交通、市場、競技など、多面的な神。ゼウスとマイアの子。
ゼウスの忠実な部下で、多くの密命を果たす(百眼の巨人アルゴスの殺害、など)。
丸い旅行帽子「ペタソス」、神々の伝令の証である杖「ケーリュケイオン」、空を飛ぶ翼が生えた黄金のサンダル「タラリア」を身につけ、鎌「ハルパー」を武器として持つ。
死者の魂を冥界に導く「魂の導者」や死者の魂を戻す役割も担う。(オルペウスが妻を冥界から連れ出す際に同行している。)
ヘルメスはアポロンの牛50頭を盗み、ゼウスの仲介で、牛と交換で自作の竪琴をアポロンに贈り、さらに、葦笛を贈り、アポロンからケーリュケイオンの杖を得た。(他説あり)
互いに必要なものを交換したことから、ヘルメスは商売の神と呼ばれ、また各地を飛び回ったことで旅の神にもなった。

(参考:Wikipedia「ヘルメス」)

 

ディオニュソス

豊穣とぶどう酒、酩酊の神。ゼウスとセメレーの子。
オリンポス十二神の一柱に数えられることもある。ヘスティアが席を譲ったとも言われている。

ゼウスの浮気に嫉妬したヘラは、セメレーを騙して殺す。ゼウスはお腹にいたディオニュソスを取り出し、セメレーの姉妹に預けた。しかし、ヘラが狂気を送り、彼女の家族は悲惨な死を遂げ、ディオニソスも狂い彷徨う。
その後、ディオニュソスはブドウ栽培を身につけ、各地を放浪しながら、彼の信仰を広める活動をする。自分の神性を認めない人を狂わせたり動物に変えたりして、神として畏怖される存在になり、その宗教的権威と魔術・呪術でインドに至るまで征服した。
さらに、母セメレーを冥界から救い出し、神々の仲間入りを果たす。
のちにディオニュソスはヘラと和解する。ヘラがヘファイストスの罠で椅子に拘束されたとき、解放を渋るヘファイストスを酔わせてオリンポスに連れて行こうとした。

(参考:Wikipedia「ディオニュソス」)

 

そのほか、ギリシア神話のキャラで、『アリオン』に登場している神(または人)は以下の通り。

アリオン

ポセイドンとデメテルの子。神馬。右足が人間の脚を持ち、人語を話すことができた。

デメテルが娘ペルセポネーを探して大地を放浪していたとき、ポセイドンに迫られ、牝馬の姿になり馬群の中に隠れた。しかしポセイドンに見つかり、自らも馬の姿となってデメテルと交合した。1人の娘(デスポイナ)とアリオンが生まれた。

後にヘラクレスや、テーバイ攻めの大将アドラーストスがアリオンに乗った。敗走したアドラーストスはこの馬のおかげで7将のなかで唯一の生還者となった。

(参考:Wikipedia「アリオン」)

 

プロメテウス

ティターンの一柱。ティターン十二神イーアペトスとテミスの子。
ティーターノマキアーにおいて、母テミスの予言に従いゼウスに味方した為、ティターン親族でプロメテウスだけがタイタロスの幽閉を逃れた。
だが、人間に同情的だった彼は、人間に対して容赦のないゼウスと対立するようになる。

プロメテウスは大きな牛を分け、一つは肉と内臓を皮で包み、他方は骨に脂身を巻きつけ美味しそうに見せた。ゼウスが後者を選び、人間が美味しくて栄養のある前者を食べられるように図ったのだった。
また、人は火があれば闇や野獣を恐れず、暖をとり、調理も出来るとプロメテウスは考え、ヘファイストスの作業場の炉から火を盗み出し人間に与えた。(ゼウスが肉の件で怒り人間から火を取り上げたのか、もともと人間は火を知らなったのか、諸説あり)
火は、人類に文明や技術など多くの恩恵を与えたが、ゼウスの予言通り、その火で武器を作り戦争を始めるに至った

怒ったゼウスはプロメテウスに報復する。
まず、ヘファイストスに美女パンドーラを作らせ、ヘルメスに届けさせた。パンドーラは、女神のごとく美しく魅力的だった。
エピメテウスは、兄プロメテウスの「神々からの贈り物を受け取るな」という忠告を忘れ、彼女を妻とする。
パンドーラは持参した壺を好奇心から開けてしまい、中からあらゆる禍が飛び出した。彼女はあわてて蓋をしたため「希望」だけが壺に残った。
さらに、ゼウスは、プロメテウスをカウカーソス山の山頂に磔にさせて、生きながら毎日肝臓を巨大な鷲についばまれる責め苦を強いた。不死の彼の肝臓は夜中に再生し、ヘラクレスにより解放されるまで拷問が行われた。

プロメテウスは水と粘土で人間を創り、他の獣のもつあらゆる能力を人間に与えた技術の神とも言われる。

(参考:Wikipedia「プロメテウス」)

 

ハデス

冥府の神。クロノスとレアーの子。ポセイドン、ゼウスの兄。
普段は冥界にいるため、オリンポス十二神には入らない場合が多い。
被ると姿が見えなくなる「かくれ兜」を所有しており、ティーターノマキアーでは、これを使いゼウスに助力した。ギガントマキアーでもヘルメスがこれを用いて戦い、ペルセウスがメドゥーサを退治するときにも使われた。

ハデスに関わる神話は少ないが、ペルセポネーの略奪は有名。
恋愛の神を疎んじたペルセポネーへの報復として、アフロディーテが仕組んで、ハデスに彼女を誘拐させた。だが、女性の扱いに不慣れなハデスは、ペルセポネーに強引な行動がとれなかった。
そんなハデスを知る、ペルセポネーの母親のデメテルは、ゼウスの関与を見抜き抗議する。(「デメテル」参照)
のちに、ヘラクレスや、亡き妻を求めてオルペウスが冥府にきたとき、ペルセポネーはハデスの傍の玉座にいて、恐るべき「冥府の女王」とも呼ばれるようになった。

(参考:Wikipedia「ハデス」)

 

ガイア

地母神。世界の始まりから存在した原初神のひとり。
神々が生まれる以前、宇宙には何もないカオス(混沌)が広がっていた。そこにガイアが生まれたとされる。ガイアは独りで、天の神ウラヌス、海の神ポントス、山の神ウーレアーを産み、母となる。エロスの働きでウラヌスを夫とし、彼は神々の王となった。そしてウラヌスとの間にクロノスをはじめとする男女各6柱の子どもを生んだ。これがティターンである
また、キュクロープス(一つ目の巨人)やヘカトンケイル(百本の手を持つ巨人)、ギガース(巨人)、ピュートーン(牝蛇)、テューポーン(ギリシア神話史上最大最強の怪物)などの魔神・怪物も産んだ

(参考:Wikipedia「ガイア」)

 

ウラヌス

天空神。ガイアの息子であり夫。ガイアの息子であると同時に夫でもあり、全宇宙を最初に統べた原初の神々の王とされる。
クロノスらティターン12神をもうける。
ガイアとの間に、キュクロープスやヘカトンケイルももうけるが、ウラヌスはその醜さを嫌いタルタロスに幽閉してしまう。これに怒ったガイアは末子クロノスに命じて、刃が魔法の金属・アダマスで作られた鎌でウーラノスの男性器を切り落とさせた。
この時流れた血からエリーニュスたちやギガースたち、メリアスたちが生まれた
また、一説では、この後、海に漂流していたウラヌスの男性器の周囲にできた泡から生まれたのがアフロディーテ女神とされている。

(参考:Wikipedia「ウラヌス」)

 

クロノス

大地と農耕の神。ウラヌスとガイアの末弟。ハデス、ポセイドン、ゼウス、ヘラ、ヘスティア、デメテルの父。
万物を切り裂くアダマスの鎌を武器とする。
クロノスは、父ウラヌスを追放する。だが、クロノス自身も、彼の子にその権力を奪われるという予言を受けたため、レアーとの間に子供が生まれるたびに飲み込んでしまった。(ヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンの順)
最後に生まれたゼウスは、レアーの機転で助かった。クレタ島で密かに育てられたゼウスは、クロノスに神酒ネクタール(ネクター)を飲ませて、飲み込んだときとは逆の順に兄弟を吐き出させた。(このとき、兄弟の序列が入れ替わり、末子であるゼウスが最高神となる。)
ウラヌスがキュクロープスを幽閉したように、クロノスも、ガイアが生んだギガースたちをタルタロスに幽閉し、ガイアの怒りを買う。
ティーターノマキアーにおいて、ガイアの勧めで、ゼウスは幽閉されたキュクロープスやギガースを解放し、巨人族を味方につけてクロノスらティーターン神族を倒した。

(参考:Wikipedia「クロノス」)

 

ティターン

オリュンポスの神々以前の古の神々で、巨大な体を持つとされる。
英語の発音からタイタンと表記される。
狭義には、ウラヌスとガイアの間に生まれた12柱の神々を指す。

【ティターン十二神】
オーケアノス、 コイオスクレイオス
ヒュペリーオーンイーアペトス、クロノス(男性6柱)

テイアーレアーテミスムネーモシュネー
ポイベーテーテュース(女性6柱)
ディオーネーポルキュースを加える場合もある。)

広義では、ヘーリオスセレーネー、プロメテウスなど、狭義のティターンの子孫(特にゼウスに与しない神々)も、ティターンと呼ばれる事がある。
ティーターノマキアーにおいて、ゼウス率いるオリンポスの神々と戦い、敗戦してタルタロスに幽閉された。

(参考:Wikipedia「ティターン」)

 

リュカオーン

アルカディアの王。アルカディアに地上で最初の都市リュコスーラを建設し、リュカイオン山でゼウス・リュカイオスの祭祀を行い、リュカイア競技祭を創設した。しかしリュカーオーンは傲慢や不信心で、人間の赤子を殺してゼウスを供犠したため、怒ったゼウスによって狼に変えられた。

(参考:Wikipedia「リュカオーン」)

 

ヘラクレス

半神半人の英雄。ゼウスとアルクメーネーの子。
ギリシア神話に登場する半神半人の英雄の中でも最大の存在。のちにオリンポスの神に連なったとされる。
ペルセウスの子孫であり、ミュケーナイ王家の血を引く。

アルクメーネーが産気づいたとき、ゼウスは「今日生まれる最初のペルセウスの子孫が全アルゴスの支配者となる」と宣言した。それを知ったヘラは、出産を司る女神エイレイテュイアを遣わせて出産を遅らせ、もう一人のペルセウスの子孫でまだ7か月のエウリュステウスを先に誕生させた。

ゼウスはヘラクレスに不死の力を与えようと、眠っているヘラの乳を吸わせた。ヘラクレスの乳を吸う力が強く、痛みに目覚めたヘラは彼を突き放した。このとき飛び散った乳が天の川(galaxyは「乳のサイクル」Milky Wayは「乳の道」)になったという。
一説には、アルクメーネーはヘラの迫害を恐れて赤ん坊のヘラクレスを城外の野原に捨てた。
ゼウスの指示で、アテナがヘラを連れ野原に向かい、赤ん坊を拾いあげて母乳を与えるように勧めた。赤ん坊の素性を知らないヘラは哀れに思い母乳を与えた。アテナは不死の力を得た赤子をアルクメーネーに返した。これを知ったヘラは密かに二匹の蛇を彼が寝ている揺り籠に放ったが、赤ん坊のヘラクレスは素手でこれを絞め殺した。

ヘラクレスはアムピトリュオーンから戦車の扱いを、アウトリュコスからレスリングを、エウリュトスから弓術、カストールから武器の扱いを、リノスから竪琴の扱いを学んだ。そしてケンタウロス族のケイローンに武術を師事して、剛勇無双となった。キタイローン山のライオンを退治し、以後ライオンの頭と皮を兜・鎧のように身につけて戦うようになる。

ヘラクレスの「12の功業」については、
関連記事「マンガ『アリオン』をもっと深く楽しむために!」をお読みください。

(参考:Wikipedia「ヘラクレス」)

※神々の名前などの表記は、『アリオン』での表記に準じています。
※参考:Widkipedia、「ギリシア・ローマ神話辞典」高津春繁著(岩波書店)

 

最後に

最初に単行本を読んでハマって以来、数十年。

話の面白さやバトルシーンの迫力はもちろん、ポセイドンやアテナなどの画が自分の持つイメージにぴったり合っていて、お気に入りの作品のひとつです。

登場するキャラが多いのに、コンパクトにまとまっていてメリハリのあるストーリー。個人的には主要キャラひとりひとりをもっとじっくり堪能したかったので20巻くらいあったらなあ……と思います。

何度読んでも楽しめる名作です。

 

電子書籍で読む!

第1巻

その昔、3人の兄弟がいた。彼らは世界を3つにわけそれぞれの治める部分をくじ引きで決めることにした。一番くじを引いた末弟のゼウスは天界の王となり、次兄のポセイドンは二番くじを引き豊穣な海界の王となった。不運な長兄のハデスは三番くじを引いた。彼はやむなく暗い地底の国の王となった……。

 

 

 

最終巻

危難に満ちた旅の果てに、自らの出生の秘密を知る…。アリオン、レスフィーナに幸せは来るのか!?長編作品感動のクライマックス!

 

 

 

 

スポンサーリンク

電子書籍ストアで探す!

 

© 2024 漫遊 Powered by AFFINGER5