『難波鉦異本』

もりもと崇

遊郭漫画の傑作!江戸時代の”風俗ガイド”をベースにしたエロと笑いの感動作!

遊郭漫画難波鉦異本なにわどらいほんの紹介です。

本作品、下品なまでのエロさは爆笑ものですが、ただのエロコメマンガではありません。

大阪遊郭文化に関する江戸時代の文献を参考にした話や、当時の遊郭を書いたあとがき等爆笑しながら当時の遊郭を知ることができる名作です!

 

この作品のオススメ度!

(4.9)

 

【ストーリー】

品がないが笑える! 設定がユニーク! 画がいい! 泣ける! (色んな意味で)興奮する!

江戸の吉原とはだいぶ違うという、大阪の新町遊郭の文化。

本作は、そこで働いていた遊女の評判記、いわゆる”ご当地風俗ガイドブック”的な『色道諸分しきどうしょわけ   難波鉦なにわどら』(1680年刊行)を参考に、遊女の日常をエロと笑いと感動で描いた傑作です。

 

遊女和泉の位は、最高位「太夫」に次ぐ「天神」。

下品、粗暴、守銭奴、しかし、頭は切れるリアリストで芸妓は一流。
実は優しく繊細な一面もあり、腕っ節も強かったりと、まさにスーパーウーマンです。

そんな和泉と、彼女が世話をする禿かむろささらの日常を中心に描いた話は、18禁じゃないの?と不安になるほどのエロさと下品さで爆笑の連続!! 

そのうえ、史料を元にした出来事を絡めたり、実在の人物をさらっと登場させたり、笑いから一転、遊郭の厳しい現実を描いたりと奥深い面白さがあります。

作品の裏話や当時の遊郭の実情を知ることができる巻末のあとがきや対談も興味深く、ぜひオススメしたい大人向けのマンガです。

【読者の評価】

平均4.5ポイント。

【受賞・実績】

電子書籍化している。
初版発行から10年以上経っても購入できる。
受賞歴がある。
・「第8回 手塚治虫文化賞 新生賞」受賞(2004年)

【ボリューム】

上巻・中巻・下巻の全3巻。
電子書籍で全巻揃えると2,000円超(税込)。

【完結/連載】

完結。(2001年〜2004年連載)

 

参考


【オススメ度】以下5項目の平均値。

【ストーリー】一言コメント1点につき1pt(MAX5pt)
【読者の評価】電子書籍サイト読者評価の平均 (MAX5pt)
【受賞・売上】電子書籍化(1pt)+ 5巻以上(2pt)+ 初版から10年以上(2pt) + 受賞数(x2pt) + 累計発行部数が公表(2pt) + 国内外の高評価(各2pt)  以上の合計(MAX5pt)
【ボリューム】全巻合計が:〜1万円(5pt)/〜2万円(4pt)/ 〜3万円(3pt)/ 〜4万円(2pt)/ 4万円超(1pt)
【完結/連載】完結(5pt)/数ヶ月毎の定期発行(4pt)/年ごとの定期発行(3pt)/不定期発行(2pt)/未完(1pt)

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漫画の漫談(まんだん)

知っていると、もっと深く・面白くマンガが読めるトピックのご紹介。

 

色道諸分しきどうしょわけ   難波鉦なにわどら

『難波鉦異本』の元ネタ本。
難波の鉦(どら)息子が親の目を盗んで遊里へ出かけ、馴染みの遊女に「遊び」の指南を受ける。
遊女達は客の問に応じて、遊里での作法から客と遊女の心理的駆引まで、その手練手管をつぶさに語る。
大坂新町を舞台にした「遊女評判記」の白眉と称すべきこの作品は,西鶴等の浮世草子や洒落本の先駆で,江戸初期俗語研究の貴重な文献。

 

遊郭

(くるわ)ともいう。「城郭」と同様、囲われた区画を意味し、人の往来を制限したり、治安・風紀の統制のため一区画に集められた。

豊臣秀吉の時代に、京都・二条柳町に遊廓が作られ、17世紀前半、京都の遊郭は朱雀野(島原遊廓)に、大阪の遊廓は新町(新町遊廓)に移転した。

江戸では、1612年、日本橋人形町付近に吉原遊廓(「元吉原」と呼ばれる)が作られた。明暦の大火で焼失後、浅草日本堤付近に移転した(同「新吉原」)。

大坂の新町遊廓、京都の島原遊廓、江戸の吉原遊廓は三大遊廓と言われ、これに伊勢古市(幕府非公認)、長崎丸山を加えて五大遊廓ともいう。

江戸時代には、全国20数箇所に公許の遊廓が存在し、江戸の吉原が最大の遊廓。

新町の夕霧太夫、島原の吉野太夫、吉原の高尾太夫などは名妓と言われ、有名である。

(参考:Wikipedia「遊郭」)

新町遊郭

1627年、大阪の難波村に遊廓が設置され、新しく拓かれた地域の総称であった新町が遊廓の名称となる。

新町遊郭は門が7つもあり、市街の中にあって、男性に限り通り抜けができた。

これに対して、京の島原遊郭は門が2つで市街の端に位置し、江戸の吉原遊郭は門が1つしかなく周囲を田畑に囲まれて市街から隔離されていた。

1672年、京の島原から夕霧太夫を抱える置屋の扇屋が移転して来た。
夕霧太夫はその6年後に病没したが、後世まで名妓として語り継がれている。

新町遊廓には元禄年間には800名を超える遊女(太夫など)がいたそうで、明治初頭まで繁栄した。

新町遊廓は、井原西鶴や近松門左衛門をはじめ数多くの文芸作品の舞台となるなど、江戸期大坂文化を語る上で欠かせない場所のひとつでもあった。

(参考:Wikipedia「新町遊廓」)

置屋

日本で芸者や遊女を抱えている家のことで、料亭・待合茶屋などの客の求めに応じて芸者や遊女を差し向ける

(参考:Wikipedia「置屋」)

揚屋あげや

客が、置屋から太夫、天神などの高級遊女を呼んで遊んだ店。茶屋(お茶屋)より格上

(参考:Wikipedia「揚屋」)

局見世つぼねみせ切見世きりみせ

最下級の女郎屋。小部屋の店が5〜8軒連なっていることから「長屋」ともいった。

1軒1妓が通常で、抱主は数軒を管理営業した。切(きり)とは時間売りのことで,一切(ひときり)100が相場であった。この揚代は上級妓のそれの10分の1だったが,一切の時間が短かったため,その数倍を請求されることが多かったようである。

(参考:コトバンク「切見世」)

太夫・花魁・天神

太夫は官許の遊女の最上位(江戸吉原では花魁)。
天神はその次位で、揚げ代が25だったことから北野天神(北野天満宮)の縁日の25日にかけて天神と呼ばれた

(参考:Wikipedia「太夫」「揚屋」)

井原西鶴

好色一代男』の作者として知られる、江戸時代の大坂の浮世草子人形浄瑠璃作者。
談林派を代表する俳諧師でもあった。

代表作は『一代男』の他に『好色五人女』『日本永代蔵』『世間胸算用』など。
天和3年(1683年)正月、役者評判記『難波の貌は伊勢の白粉』を刊行(現存するのは巻二巻三のみ)。

(参考:Wikipedia「井原西鶴」)

夕霧太夫

島原の置屋「扇屋」の太夫となり、1672年(寛文12年)に扇屋が大坂の新町へ移転し、大坂で最初の太夫となった。

姿が美しく、芸事に秀でた名妓であったが、新町移転後6年で病没(延宝6年1月6日(1678年2月26日)享年27歳)。大坂中がその死を惜んだという。
亡くなった日は「夕霧忌」として俳句の季語にもある。

(参考:Wikipedia「夕霧太夫」)

和泉

『難波鉦』に記載がある実在した女郎。詳細不明。

(参考:『難波鉦異本」上巻 あとがき)

 

最後に

バカバカしく下品なエロ話に笑いながらも、当時の遊郭の現実に思わずホロリとします。

気軽に読めて笑いと感動と知識まで得られる、読後、幸せを感じる作品です。

 

電子書籍で読む!

大坂難波の廓を舞台に描かれる、したたかな女郎・和泉の愉しき日々。江戸時代の空気と情緒を生き生きと伝える遊郭漫画の大傑作を、上中下、全三巻構成でついに電子化!上巻は第一話~第七話までと、あとがき、そして連載前に発表された幻の一編『ちょとゑずいこと』も初収録。手塚治虫文化賞新生賞受賞作品。

 

 

実在した大坂新町の廓で、たくましく生きる遊女・和泉と町人たち。元禄文化を謳歌する人間たちを鮮やかに描いた遊郭漫画の大傑作。中巻は第八~十四話を収録するほか、あとがき、単行本未収録となっていた短編『まだ分なきこと』、さらには近世文学研究家・木越治氏とのロング対談なども併録し、読み応えたっぷり。

 

 

下 

今日も町に響き渡る、娼婦・和泉の高らかな笑い声。唯一無二の”自由な廓”を描き上げた遊郭漫画の傑作、これにて千秋楽!多くの読者に惜しまれつつも、掲載誌の休刊に伴い未完となっていた作品が遂に完結。描きおろしのエピソードを加えた最終話はもちろん、下巻収録分は全てが初単行本化!

 

 

 

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