皆川亮二 原案協力:七月鏡一
その力は人類に希望を与える味方なのか
それとも破滅に導く敵なのか?
連載当時から20年以上経ちますが、アニメ化の影響もあり結構ご存知の方が多く、いまでも評価が高い作品です。
多種多様な能力を持ったキャラ、
次々に展開するストーリーと複雑に絡み合う伏線、
この作品のモチーフとなった『不思議の国のアリス』、
魅力的な要素が満載の本作。
果たして”ARMS”の正体とは?
久々に読み返しても、グイグイと引き込まれる名作です!
この作品のオススメ度!
(4.7)
【ストーリー】
設定がユニーク! 引き込まれるストーリー! 熱い戦闘シーン! 話の進行が怒涛のよう! 予想外の展開!ある日、普通の男子高校生・高槻涼は、その日転校してきたばかりの生徒に襲われます。
さらに謎の男も介入してきて、訳がわからない状況であやわというその時、彼の右腕が……!?
ナノマシン、クローン、サイボーグ、強化人間、超能力者、超天才、伝説の傭兵や無敵の忍者、拳法の達人……
多彩なキャラが、ときに主人公の味方として、ときに敵として登場します。
果たして、未知の力を持つARMSは、人類に希望を与える味方なのか、それとも破滅に導く敵なのか?
敵キャラが『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』のキャラを名乗っているのもポイントです!
【読者の評価】
平均4.5ポイントです!
【受賞・実績】
電子書籍化している。
5巻以上続いている。
初版発行から10年以上経っても購入できる。
受賞歴がある。
・第44回小学館漫画賞受賞(1998年)
累計発行部数が公表されている。
・累計発行部数1500万部突破!(2012年10月時点)
【ボリューム】
全22巻。
電子書籍で全巻揃えると12,000円以内(税込)。
【完結/連載】
完結。(1997年〜2002年連載)
参考
【オススメ度】以下5項目の平均値。
【ストーリー】一言コメント1点につき1pt(MAX5pt)
【読者の評価】電子書籍サイト読者評価の平均 (MAX5pt)
【受賞・売上】電子書籍化(1pt)+ 5巻以上(2pt)+ 初版から10年以上(2pt) + 受賞数(x2pt) + 累計発行部数が公表(2pt) + 国内外の高評価(各2pt) 以上の合計(MAX5pt)
【ボリューム】全巻合計が:〜1万円(5pt)/〜2万円(4pt)/ 〜3万円(3pt)/ 〜4万円(2pt)/ 4万円超(1pt)
【完結/連載】完結(5pt)/数ヶ月毎の定期発行(4pt)/年ごとの定期発行(3pt)/不定期発行(2pt)/未完(1pt)
漫画の漫談(まんだん)
知っていると、もっと深く・面白くマンガが読めるトピックのご紹介。
『ARMS』は、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をモチーフにしています。
そこで、『ARMS』でその名前が出てくる『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』のキャラ等を紹介します。
ジャバウォック
『鏡の国のアリス』にででてくるナンセンス詩『ジャバウォックの詩』で語られる生き物。物語では実際には登場しない。詩はジャバウォックと呼ばれる魔獣が退治される様子を詠っている。
ジョン・テニエルによる挿絵では、細身のドラゴンのような姿で描かれている。
結構、怖い顔とは対照的に、服を身に着けている様がちょっと面白い。
『ARMS』では、高槻涼のARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「ジャパクォック」「ジャバウォックの詩」)
ナイト(騎士)
『鏡の国のアリス』はチェスのルールに従って話が進行する。その中で擬人化したチェスの駒が登場するが、白の騎士(ナイト)もそのひとつ。第8章に登場。赤の騎士と戦ってアリスを助け、次のマス目まで送る。
『ARMS』では、新宮隼人のARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「鏡の国のアリスのキャラクター」)
ホワイトラビット(白うさぎ)
『不思議の国のアリス』の冒頭に登場。彼を追ったアリス不思議に迷い込むきっかけを作る。
物語全体を通してたびたび登場する。この物語の象徴的なキャラクター。
『ARMS』では、巴武士のARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「不思議の国のアリスのキャラクター」)
クィーン・オブ・ハート(ハートの女王)
トランプのハートのクイーン。『不思議の国のアリス』でフラミンゴとハリネズミを使ったクロッケー大会を主催する。
すぐに「首を刎ねろ!」と命令する癇癪持ちで、作者のルイス・キャロルは、後年、ハートの女王を手に負えない激情や盲目的な怒りの化身として生み出したと記している。
テニエルの挿絵では、女王はライバルであるスペードのクイーンのような服装で描かれている。スペードのクイーンは復讐や死の女神として扱われていた。
『ARMS』では、久留間恵のARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「不思議の国のアリスのキャラクター」)
グリフォン
体の上部は鷲、下部はライオンという伝説上の生物。キリスト教における神と人の合体のシンボルとしてヨーロッパでは中世から知られている。
『不思議の国のアリス』では、ハート女王に命じられてアリスをウミガメもどきの所へ連れていく。
『ARMS』では、キース・レッドのARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「不思議の国のアリスのキャラクター」)
マーチ・ヘア(三月兎)
三月ウサギは、『不思議の国のアリス』で、帽子屋・ヤマネと狂ったお茶会(マッド・ティー・パーティ)を開いていた。
このおかしな三月ウサギは「三月のウサギのように気が狂っている」という慣用表現からきている。(三月がウサギの発情期で、雄のウサギの落ち着かない行動に由来。)
挿絵では藁を頭に巻いた姿で描かれている。藁の冠は、当時の政治風刺漫画で狂人を表す一般的な方法だった。
三月ウサギは『鏡の国のアリス』でも「ヘイヤ」と名を変えて帽子屋とともに登場する。
なお、英語では「白ウサギ(穴ウサギ)」は「ラビット(rabbit)」、「三月ウサギ(野うさぎ)」は「ヘアー(hare)」と区別して呼ぶ。
『ARMS』では、キース・バイオレットのARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「不思議の国のアリスのキャラクター」)
マッドハッター(帽子屋)
『不思議の国のアリス』において、三月ウサギの家の前で、狂ったお茶会を参加している男。
女王の前で歌った「きらきらこうもり」(「きらきら星」のパロディ)が不興を買って死刑宣告を受けて以来、時間が言うことを聞かなくなり、ずっと6時のお茶の時間のままになってしまったという。
三月ウサギ同様、「気が狂っている」とチェシャ猫から評される帽子屋は、「帽子屋のように気が狂っている」という当時の慣用表現から作られたキャラクター。これは、"mad as an adder" の転訛説のほか、当時の帽子屋が、帽子のフェルトの製造過程で水銀を使うことによる水銀中毒からきていると言われる。水銀中毒の初期症状は、当時「帽子屋の震え」と呼ばれていた。
帽子屋は、『鏡の国のアリス』でも「ハッタ」と名を変えて三月ウサギ(ヘイヤ)とともに登場する。
『ARMS』では、キース・シルバーのARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「不思議の国のアリスのキャラクター」)
チェシャ猫
『不思議の国のアリス』に登場する。常にニヤニヤ笑いを浮かべている猫で、自由自在に体を出没させることができる異能の存在である。
アリスが公爵夫人の家を訪れた後、彼女に三月ウサギと帽子屋の家の方向を教え、「笑いなしの猫」ならぬ「猫なしの笑い」("a grin without a cat") となって消える。
『ARMS』では、キース・グリーンのARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「チェシャ猫」)
ハンプティダンプティ
「ハンプティ・ダンプティ」は有名なマザーグースで、『鏡の国のアリス』の中でもそのまま歌詞が引用されている。
ハンプティ・ダンプティ 塀に座った
ハンプティ・ダンプティ 盛大に落ちた
王様の馬と家来 全員にかかっても
ハンプティを元には 戻せなかった
『鏡の国のアリス』では、ハンプティ・ダンプティは不機嫌で居丈高な態度でアリスと接する。最後に詩を暗唱した彼は突然別れを告げると、早く立ち去れというようにアリスを無視する。アリスは非常に不愉快に感じながらも立ち去った。直後、グシャッという音が盛大に聞こえた。それから歌のとおりにハンプティ・ダンプティを救出するため、白の王が軍勢を率いてやってきた。
『ARMS』では、キース・ブラックのARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「ハンプティ・ダンプティ」)
ドーマウス(眠りネズミ)
狂ったお茶会に、三月ウサギ、帽子屋とともにいた、常に眠そうにしているネズミ。
英語の「眠りネズミ」(dormouse)はヤマネを意味していることから、ヤマネと訳される場合もある。ヤマネは、冬眠時間が長いことで知られる動物である。
『ARMS』では、キース・ブルーのARMSのコードネーム。
(参考:Wikipedia「不思議の国のアリスのキャラクター」)
バンダースナッチ
『ジャバウォックの詩』で言及される架空の生物。
『ジャバウォックの詩』に「燻(いぶ)り狂えるバンダースナッチに近寄るべからず (shun the frumious Bandersnatch.)」という一節がある。
『鏡の国のアリス』において、白のキングの言葉から、バンダースナッチが非常に素早い生物で、複数いると思われる。
「よいか、一分間というやつは恐ろしく素早く過ぎるでな。まだ一匹のバンダースナッチを押しとどめる方が楽じゃろうよ!
(You see, a minute goes by so fearfully quick. You might as well try to stop a Bandersnatch!)」。
ルイス・キャロルの別の作品『スナーク狩り』にも登場するが、それによると、長く伸ばせる頚部と、獲物を捕らえるための燻り狂った顎 (frumious jaws) を持っているという。
「燻り狂った (frumious)」という単語は、バンダースナッチの本質的な性質を記述するために用いられる形容詞で、「燻り狂った (frumious)」は、「怒り狂った (furious)」と「燻った (fuming)」を組み合わせたかばん語である。
(参考:Wikipedia「バンダースナッチ」「スナーク狩り」)
『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』のあらすじについては、コチラへ。
『ARMS』と『エグリゴリ』の由来
『ARMS』と敵の組織名『エグリゴリ』の由来も面白いので、簡単に紹介します。
- 『ARMS』と『エグリゴリ』はエノク書(エチオピア正教会における旧約聖書の1つ)が由来。
エノク書において堕天使エグリゴリが人間に与えたとされる数多くの知識と技術の中に「武具の技術」がある。 - 本作では、エグリゴリによって作り出された人類を新たなステージに導くこの生命体を「ARMS」(武器)と名づけたのである。
(参考:Wikipedia「ARMS」ARMSの項目)
最後に
20年以上も前の作品なのでちょっと年代も感じますが、早い展開のストーリーにぐいぐいと引き込まれてすぐに気にならなくなります。
いろいろな要素がこれでもかと注ぎ込まれた作品で、満腹感がすごい!
そして、最終的に明かされる”ARMS”の正体、その発想がこれまたすごい!
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第1巻
高槻涼は進級したばかりの高校二年生。始業式のその日に現れた転校生・新宮隼人は奇妙な左腕を振りかざし、突然涼に襲いかかった。さらに、対峙する二人の前に、謎の男・爪(クロウ)が現れる。爪が涼の幼なじみ・カツミを傷つけようとしたまさにその時、涼の右腕が…!?その腕が掴むものは…神の未来か、悪魔の過去か…!!
最終巻
キース・ホワイトの歪んだ野望が生んだ「プログラム・バンダースナッチ」を発動し、東京に出現したカツミ。人類を滅ぼすため、ホワイトはカツミとの融合を図ろうとする。その進撃を止めるため都心へ向かった涼たちは敵・モジュレイテッドの妨害をかいくぐり、アームズの力を完全復活させるが…!?壮大なる熱きドラマ、堂々の完結!!
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