『パイナップルARMY』

数々の戦場を渡り歩いてきた戦闘インストラクター
クールな彼の強さと
優しさが心を揺さぶるヒューマン・ドラマ!

 

 

 

 

原作:工藤かずや 作画:浦沢直樹

オススメ度(4.4)

 

厳しく無愛想だが実は優しい男、ジェド・豪士

かつてベトナム戦争で活躍し、その後も世界各地の戦場を渡り歩いた日系アメリカ人の元傭兵

現在は民間軍事援助組織CMAに所属し、依頼人に戦闘や護身術を教える戦闘インストラクターをしています。

様々な理由で武器を手にして戦わなければならない状況になってしまったビジネスマンや女性、そして子供たち。しかも、彼らの敵はかつて軍人や傭兵だった”プロ”。

そんな依頼人を豪士は短期間で”一人前の兵士”に仕立て上げ、巧妙な作戦で敵を見事に返り討ちにします。

1話完結の短編集。激しく迫力のある戦闘の話というより、プチ感動するヒューマン・ドラマです。

 

ストーリー

ニューヨークで一人の刑事が交通事故を装って殺された。彼の葬儀で遺された4人の娘たちは衝撃の事実を知る。

彼女たちは自分たちも殺されると知って戦う決意をするが、敵が冷酷無比で有名な元軍人だったことから助けてくれる者はいなかった。

CMAからの依頼で姉妹の家を訪れた豪士は事情を聞くと「24時間以内に仕事を引き受けるかどうか返事をする」と言って立ち去る。

また断られたと肩を落とす彼女たちだったが、翌朝、豪士が再び現れ……姉妹の戦いが始まった!

 

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この作品のオススメ度!

 

(4.4)

 

【気ままに感想】

★ 世界屈指の戦争のプロで、現在は戦闘インストラクターという主人公のプロフィールがユニーク。

★ 近年、なにかと注目を浴びた「民間軍事会社」を取り入れた作品。

★ 「俺はあくまでインストラクターだ」と冷たく依頼人を突き放しつつ、いざとなると命がけで戦う豪士の優しさがカッコイイ。

★ 浦沢直樹氏の描く人物はどことなくコミカルで、可愛らしい美人も多数登場!

★ 素晴らしい画力で、特に後半の画はとても緻密。 

★ ミリタリーマンガだが、迫力のある戦闘よりもプチ感動する話が多いヒューマン・ドラマ。

★ 豪士のレクチャーを受けた素人が、プロの軍人相手に戦って勝つ。現実離れしていると思いつつ夢中になって読んでしまう。

★ ベトナム帰還兵の問題や、政治家や軍の汚職や陰謀絡みの重い話が、単純明快な短編にまとまっていて気軽に読める。

★ ベトナム戦争で活躍した豪士が、フォークランド紛争を体験したキートン(『Masterキートン』)を想起させ、作風も似ている。

★ 1980年後半の作品で、作中でもベトナム戦争の傷跡がまだ残っている感じで描かれているが、今読んでも古さを感じない。

 

【読者の評価】

★ 平均4.3ポイント!

 

【受賞・実績】

★ 5巻以上継続している。

★ 初版から10年以上経つが読める。

・古本にて購入可。

 

【ボリューム】

★ 全8巻

・古本で全巻約2,000円〜(税込)。

 

【完結/連載】

★ 完結(1985年〜1988年連載)

 

参考


【オススメ度】以下の項目の平均値。

【気ままに感想】コメント1点につき1pt(MAX10pt、2項目換算)
【読者の評価】電子書籍サイト読者評価の平均 (MAX5pt)
【受賞・売上】電子書籍化(1pt)+ 5巻以上(2pt)+ 初版から10年以上(2pt) + 受賞数(x2pt) + 累計発行部数が公表(2pt) + 国内外の高評価(各2pt)  以上の合計(MAX5pt)
【ボリューム】全巻合計が:〜1万円(5pt)/〜2万円(4pt)/ 〜3万円(3pt)/ 〜4万円(2pt)/4万円超(1pt)
【完結/連載】完結(5pt)/数ヶ月毎の定期発行(4pt)/年ごとの定期発行(3pt)/不定期発行(2pt)/未完(1pt)

 

漫画の漫談(まんだん)

知っていると、もっと深く・面白くマンガが読めるトピックのご紹介。

本作でジェド・豪士が所属する「民間軍事援助組織(CMA)」は架空の組織ですが、現実には「民間軍事会社」という会社が世界には存在しています。

民間軍事会社

PMC(private military company または private military contractor)、PMF(private military firm) 等と呼ばれる民間軍事会社は、主に国家が依頼主で、下記のような多岐にわたるサービスを提供しています。

・軍隊や特定の武装勢力・組織・国に対して武装社員を派遣しての警備や戦闘業務
・武装勢力に拘束された人質の救出や窮地に陥った要人の逃亡支援。
・兵站・整備・訓練等の後方支援

従来の戦闘一辺倒だった傭兵とは異なり、軍の様々な業務を請け負うアウトソース先になっています。

民間軍事会社は1980年代後半から1990年代にかけて誕生しました。

1991年ソ連の崩壊で冷戦が終結し、アメリカをはじめ各国が肥大化した軍事費と兵員を削減した結果、多くの退役軍人を生み出しました。

さらに冷戦後、小国の内戦、民族紛争など小規模な戦闘や敵国が断定できない非対称戦争が頻発し、2000年代「対テロ戦争」でこの業種が急成長します。

軍事予算の大幅な削減に伴う優秀な軍歴をもつ退役軍人の増加軍隊のコスト面の効率化、そして小規模の紛争やテロの頻発
この3つの要素が民間軍事会社を生み出す要因となりました。

民間軍事会社では正規軍に所属した優秀な経験者(特にデルタフォースやDEVGRUといった有名特殊部隊に所属する元兵士を優遇する)を雇用することが多いようです。

2019年末に保釈中のカルロス・ゴーンの国外逃亡を支援した人物が民間軍事会社に所属していたことや、2022年ロシアのウクライナへの侵攻戦争でロシアが契約したワグネルなどはニュースで大きく報道されているので、民間軍事会社の存在をご存じの方も多いと思います。

(参考:Wikipedia「民間軍事会社」)

 

最後に

浦沢作品のファンになるきっかけになった漫画です。

『MASTERキートン』の原型とも言える作品で、数ある氏の作品のなかでも一番お気に入りです。

何度読み返したか知れませんが、単行本は黄ばみボロボロになってしまったので数年前にPDF化して保存して今でも個人で楽しんでいます。
早く電子書籍化されて、多くの人にこの面白さを知ってもらえたらと願っています。

 

電子書籍で読む!

第1巻

戦闘インストラクター、ジェド豪士が活躍するヒューマンアクション!

▼第1話/インストラクタ-豪士▼第2話/偽りの英雄▼第3話/最後の真実▼第4話/十五年間の悪夢▼第5話/五人の軍隊 前編▼第6話/五人の軍隊 中編▼第7話/五人の軍隊 後編▼第8話/過去からの男●登場人物/ジェド・豪士(日系アメリカ人で元傭兵の戦闘インストラクタ-) ●本巻の特徴/本巻では、戦闘インストラクタ-としての仕事内容が明らかにされるとともに、豪士の最初の敵であるコ-ツのほか、過去に関わった重要人物が登場している。(第5、6、7話)●その他の主な登場人物/コ-ツ大佐(第5話)、ジャネット(第5話)、ジェフリ-伍長(第6話)、珍(第6話)ハリデ-元准将(第7話)

 

 

最終巻

▼第1話/聖者現わる▼第2話/その男……▼第3話/暗い日曜日▼第4話/黒の手紙▼第5話/素晴らしき休日▼第6話/微声拳銃▼第7話/竜韜部隊(ロンタオプートウイ)▼第8話/最後の切り札(エースインザホール)●登場人物/ジェド・豪士(日系アメリカ人で元傭兵の戦闘インストラクター)●本巻の特徴/本巻では、謎の日本人テロリストの正体が明らかにされると同時に、豪士との対決が描かれている。●その他の登場キャラクター/キース(第3話)、コーツ大佐(第4話)、ソフィー(第4話)、ジャネット(第5話)、トム・ローガン(第5話)、ハリデー元准将(第5話)、ジェフリー伍長(第5話)、珍(第5話)、ジョー・ハイツマン(第5話)

 

 

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